2017/05/23 15:40

しかし、その二人は手すらつないでいない。ただお互い好きになっただけ。
完全なる冤罪である。
ナゼその男性は罪を認めたのか。きっと取り調べの厳しさに、認めた方が楽だと思ったのであろう。シラを切るなり黙秘するなりすれば良かったが若さ故か。
しかし、シラを切るのは言わずもがな、黙秘も時として難しい。黙っていることが雄弁に物語ってしまう事もある。
何年前になるかも覚えていないが、仕事が終わり終電に揺られていると、友人のKから友達の中華屋にいるので来てくれと連絡が入った。
その中華屋に着くと、Kの隣に見たことの無い女性が座っていた。
話から推察するに、どうやら二人はややこしい関係らしかった。しかしKは妻子持ちである。その女性はその事も知っているらしい。まあそれなら俺がとやかく言う事でもないかと中華を食いながら話をしていた。
「コイツ宝石屋やからいっぱい宝石くれるやろ?」
何気なく冗談のつもりで言うと
「何ももらった事無い…」
空気が重くなる。そして冷え込んでいく。
「まあ店の商品やからな。どこ遊びに行ったりすんの?」
「どこにも連れてってもらってない…」
イカン!この空気を何とかせねば凍え死んでしまう!いや、もはや脱出を図るべきか!何とかならないかと思案をめぐらしていると、その女性がKにこう言った。
「私の事好きなん?」
その問いにKの返事は雄弁だった。
「・・・。」
返事とはかならずしも言葉を必要としない。目からウロコが落ちる思いでKを見ていると、女性は走って店を出て行った。
「追いかけんでええの、アレ…?」
「あとでメール入れたら大丈夫!」
ちっちゃいのかデッカイのかわからん男K。小さな巨人。このブログを彼の嫁が見ない事を切に願う。